「確定申告のたびに税金の多さに驚く。もっと節税できるはずなのに、何をすればいいかわからない」——個人事業主の方からよく聞く悩みです。
節税は難しいことではありません。知っているかどうかで、年間数十万円単位で手元に残るお金が変わります。この記事では、個人事業主が今すぐ取り組める節税対策の基本を5つに絞って解説します。
そもそも個人事業主の税金の仕組み
節税を考える前に、税金がどう決まるのかを簡単に整理しておきます。個人事業主の所得税は、次の順番で計算されます。
①売上 − 経費 = 所得
②所得 − 各種控除 = 課税所得
③課税所得 × 税率 = 所得税額
ここで重要なのは、日本の所得税は「超過累進課税」という仕組みになっている点です。課税所得が上がるほど、段階的に税率も上がります(税率は5%〜45%)。つまり課税所得を適正に抑えられれば、その分税率も下がりやすくなるということです。住民税(一律10%程度)と合わせて考えると、課税所得を1万円減らせば、その分の税負担が確実に軽くなります。
節税とは、この計算式の「経費」と「控除」を、法律で認められた範囲内で漏れなく反映させることです。脱税(虚偽の申告)とは全く異なるものであり、正しく申告することが前提です。
節税の基本的な考え方
節税の手段は大きく2つです。
- 経費を漏れなく計上する:事業に関係する支出で、本来経費にできるものを見落とさず正しく計上する
- 控除を漏れなく使う:青色申告特別控除・小規模企業共済・iDeCoなどの控除制度を活用する
ここで注意したいのは、「経費を増やせば得をする」という考え方は誤解だということです。経費はあくまで実際に支払った事業上の支出であり、水増しや架空計上は税務調査で否認されるだけでなく、悪質な場合は重加算税などの重いペナルティの対象になります。すでに発生している正当な支出を、申告時に漏れなく計上することが節税の本質です。
基本の節税対策5つ
① 青色申告で65万円控除を受ける
個人事業主が使える最大の節税制度です。複式簿記で帳簿をつけてe-Taxで申告すると、利益から最大65万円を差し引いた金額に税金がかかります。所得税率20%の方なら、それだけで年間13万円の節税になります。
会計ソフトを使えば複式簿記の知識がなくても対応できます。まだ青色申告をしていない方は、今すぐ申請を検討してください。青色申告の詳細は青色申告と白色申告の違いをわかりやすく解説の記事でも解説しています。
② 経費をもれなく計上する
事業に関係する支出は経費として計上できます。見落としやすい経費の例を確認してください。
- 自宅兼事務所の家賃・光熱費:仕事に使っている割合(按分)で経費にできる
- スマートフォン・インターネット代:事業で使っている割合で按分して経費計上可能
- 車・ガソリン代:仕事で使う割合で按分できる
- 書籍・セミナー代:事業に関連するものは研修費・図書費として計上できる
- 交際費:取引先との食事・接待は一定の範囲で経費にできる
「これは経費になるのか?」と迷ったときは、事業との関連性を客観的に説明できるかどうかが判断基準です。説明できるものは正しく経費に計上し、判断に迷う場合は税理士や税務署に確認することをおすすめします。
③ 小規模企業共済に加入する
個人事業主・フリーランスのための退職金制度です。毎月1,000円〜70,000円を積み立てられ、掛金の全額が所得控除になります。
例えば月3万円(年36万円)積み立てると、所得税率20%の方なら年間約7万円の節税になります。将来の廃業・引退時にまとまったお金として受け取れるため、節税しながら老後資金を準備できる一石二鳥の制度です。
中小機構(独立行政法人)が運営しており、証券会社や銀行の窓口で加入できます。
④ iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用する
老後のための年金制度で、毎月の掛金が全額所得控除になります。個人事業主は月最大68,000円まで積み立てられます。
年68,000円×12ヶ月=年816,000円が所得控除になります。所得税率20%の方なら年間16万円以上の節税効果があります。ただし原則60歳まで引き出せないため、余裕資金で積み立てるのが基本です。
⑤ 所得控除を使い切る
確定申告では、以下の所得控除も忘れずに申告してください。
- 生命保険料控除:生命保険・医療保険・個人年金保険の掛金が最大12万円控除
- 医療費控除:年間の医療費が10万円を超えた分が控除対象(市販薬も対象のセルフメディケーション税制あり)
- ふるさと納税(寄附金控除):自己負担2,000円で実質的に節税しながら返礼品がもらえる
- 社会保険料控除:国民健康保険・国民年金の支払い額が全額控除
これらは申告しなければ控除されません。払っているのに申告していないケースが意外と多いので、確認してみてください。
やりがちなNG節税
プライベートの支出を経費にする
プライベートの食事・旅行・買い物を事業の経費として計上することは、法律上認められていません。税務調査では帳簿と領収書の内容を詳しく確認されます。事業との関連性が説明できない経費は否認され、追加で本税・過少申告加算税・延滞税などを払うことになります。悪質と判断されれば重加算税が課されることもあります。
節税のためだけに不要なものを買う
「経費にできるから買っておこう」という発想は本末転倒です。30万円の機器を買って20%の節税になっても、手元からは24万円が出ていきます。本当に事業に必要なものを経費にするのが正しい節税です。
会計ソフトを使えば経費の記帳・管理・確定申告書の作成まで一括でできます。
節税についてもっと詳しく知りたいときは
「自分の場合、小規模企業共済とiDeCoどちらを優先すべきか」「按分の割合はどう決めればいいか」——節税は状況によって最適解が変わります。そんなときはAI番頭まっちゃんに相談してみてください。あなたの業種・収入規模・状況に合わせた具体的なアドバイスをメールでお届けします。初回は無料です。
まとめ
- 所得税は超過累進課税——課税所得を適正に抑えられれば税率も下がりやすくなる
- 節税の基本は「経費を漏れなく計上する」と「控除を漏れなく使う」の2軸
- 青色申告65万円控除が最大の節税手段——まだの方は今すぐ申請を
- 自宅家賃・通信費・車など按分できる経費を見落とさない
- 小規模企業共済・iDeCoは掛金が全額控除——老後資金の準備と節税を同時にできる
- 生命保険・医療費・ふるさと納税などの所得控除を申告漏れなく使い切る
- プライベート支出の経費計上や水増しは違法——正しい申告を徹底する
節税は「知っている人だけが得をする制度」ですが、あくまで法律の範囲内で正しく申告することが大前提です。今年の確定申告から使える対策が必ずあります。まず自分が使えていない経費・控除がないか、この記事を参考に確認してみてください。
