「一生懸命作っているのに、なぜか月末にお金が残らない」——カフェ・飲食店を経営している方から最もよく聞く悩みです。
原因の多くは「原価率」にあります。売上に対して食材にいくら使っているかを把握していない経営者は、意外なほど多いです。この記事では、原価率の基本的な意味から、業態別の目安・改善策まで順番に解説します。
そもそも原価率とは何か
原価率とは、売上に対して食材費(仕入れ原価)がどれくらいの割合を占めているかを示す数字です。
原価率(%)= 食材費 ÷ 売上 × 100
例えば、月の売上が100万円で食材費が30万円なら、原価率は30%です。
原価率が高いほど、売上に対して食材にかかるコストが大きいことを意味します。原価率が下がれば、同じ売上でも手元に残る利益が増えます。
飲食店経営では、原価率を常に把握して適正水準に保つことが、利益を安定させるための基本中の基本です。
FL比率も一緒に覚えておく
飲食店経営でよく使われる指標に「FL比率」があります。
FL比率 = 食材費(Food)+ 人件費(Labor)÷ 売上 × 100
飲食店の2大コストは「食材費」と「人件費」です。この2つを合計した比率がFL比率で、60%以内が健全の目安とされています。FL比率が60%を超えてくると、家賃・光熱費・その他経費を払った後に利益がほとんど残らなくなります。
業態別の原価率・FL比率の目安
| 業態 | 食材原価率の目安 | FL比率の目安 |
|---|---|---|
| カフェ・喫茶店 | 25〜35% | 55〜65% |
| ランチ中心の定食・食堂 | 35〜45% | 60〜70% |
| 居酒屋・ダイニングバー | 30〜40% | 55〜65% |
| ラーメン・麺類専門店 | 25〜35% | 55〜65% |
| テイクアウト・デリバリー専門 | 30〜40% | 45〜55%(人件費が低い分) |
自分のお店の原価率がこの目安より高い場合は、改善の余地があります。逆に目安より低ければ、コスト管理がうまくできているサインです。
原価率が高くなりがちな3つの原因
原因① ロス・廃棄が多い
仕入れた食材を使いきれずに廃棄するロスは、原価率を直接押し上げます。「とりあえず多めに仕入れておこう」という習慣が積み重なると、廃棄コストが月の食材費の10〜20%に達することもあります。
ロスを減らすには、販売数の実績をもとに仕入れ量を決める「実績ベースの発注」が基本です。感覚ではなく数字で発注量を管理することが重要です。
原因② メニューの値付けが原価を考慮していない
「このメニューはいくらにすればいいか」を感覚や競合との比較だけで決めていると、原価率が高いメニューを売り続けることになります。
メニューを作るときは、必ず「1皿あたりの食材費」を計算し、目標原価率に収まる価格を設定してください。
販売価格の目安 = 1皿の食材費 ÷ 目標原価率
例えば食材費が800円で目標原価率30%なら、販売価格は2,700円以上が必要です。
原因③ 仕入れ価格を見直していない
開業当初の仕入れ先・仕入れ価格をそのまま使い続けているケースです。食材の相場は変動します。複数の業者を定期的に比較したり、まとめ買いで単価を下げる交渉をしたりすることで、原価率を改善できる余地があります。
原価率を改善するための具体的な考え方
ABC分析で売れ筋・死に筋を把握する
メニューを売上金額の高い順に並べてA(上位)・B(中位)・C(下位)に分類するのがABC分析です。売れているメニューの原価率を下げることが、最も効果の大きい改善策です。
逆に、ほとんど注文されないのに原価率が高いメニューは廃番を検討する判断材料になります。メニューを絞ることでロスも減り、仕入れの効率も上がります。
高原価メニューと低原価メニューをバランスよく設計する
原価率の高いメニュー(看板メニュー・集客用)と、原価率の低いメニュー(ドリンク・デザート・サイドメニュー)を組み合わせることで、全体の原価率を調整できます。
例えば、ランチのメイン料理の原価率が40%でも、ドリンクセットの原価率が15%なら、セットで注文された場合の合計原価率は30%前後に落ち着きます。「セット注文を促す」導線を作ることも原価率改善の有効な手段です。
飲食店の利益率全体の考え方はこちらの記事でも詳しく解説しています。
数字を見てもどう動けばいいかわからないときは
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まとめ
- 原価率=食材費÷売上×100。飲食店経営の基本中の基本の指標
- FL比率(食材費+人件費)は60%以内が健全の目安
- 業態別の原価率目安はカフェ25〜35%・定食35〜45%・居酒屋30〜40%
- 原価率が高くなる原因は①ロス・廃棄②値付けのミス③仕入れ価格の見直し不足
- メニューの販売価格は「食材費÷目標原価率」で計算して設定する
- ABC分析で売れ筋・死に筋を把握し、メニューを絞ることでロスも改善できる
原価率は「知っているかどうか」で経営の結果が大きく変わる数字です。まず今月の食材費と売上から自分のお店の原価率を計算してみてください。
