集客のためにSNS広告やインフルエンサーを起用する個人事業主は増えていますが、「広告費として払ったお金が、経理上どう扱われるのか」「その効果をどう測ればいいのか」を整理せずに始めてしまうケースも多く見られます。この記事では、SNS広告費・インフルエンサー起用費の経理処理と、費用対効果の考え方を解説します。
SNS広告費は「広告宣伝費」として経費にできる
Instagram・Facebook・X(旧Twitter)などのSNS広告にかかる費用は、事業のために不特定多数へ向けて行う宣伝活動として、「広告宣伝費」の勘定科目で経費計上できます。白色申告なら収支内訳書、青色申告なら青色申告決算書に、広告宣伝費として記載する欄が用意されています。
一点注意したいのが消費税の扱いです。GoogleやMeta(Facebook・Instagram)といった海外に拠点を置く事業者への広告費の支払いは、その事業者のインボイス登録状況によっては、消費税の仕入税額控除(支払った消費税を差し引く仕組み)が使えない可能性があります。広告費の支払い先が国内法人か海外法人か、インボイス登録事業者かどうかは、領収書・請求書で確認しておいてください。
インフルエンサーへの起用費は源泉徴収が必要か
個人のインフルエンサーに対価を支払ってSNS投稿を依頼する場合、その報酬に源泉徴収が必要かどうかは、依頼内容によって判断が分かれます。
単純に「SNSに投稿してもらう」ことへの対価であれば、原稿料や デザイン報酬のような源泉徴収の対象となる報酬には原則として該当せず、源泉徴収は不要とされています。ただし、依頼内容に商品撮影・写真提供・動画制作など、デザイン報酬に近い性質の作業が含まれる場合は、源泉徴収の対象となるケースがあるため注意が必要です。また、相手が法人(個人事業主ではなく会社として活動している場合)であれば、そもそも源泉徴収の対象外です。
契約時に、依頼する作業の内容(投稿のみか、撮影・制作を含むか)と、相手が個人事業主か法人かを確認し、契約書に明記しておくと、後から源泉徴収の要否で迷うことがなくなります。
SNS広告費の費用対効果をどう測定するか
広告費は払って終わりではなく、その効果を数字で検証することが重要です。SNS広告・インフルエンサー起用ともに、次の視点で効果測定をしてください。
- 顧客獲得単価(CPA)を計算する:広告費・起用費の総額を、そこから獲得できた新規顧客の人数で割ることで、1人の新規顧客を獲得するのにかかったコストがわかります
- 単発の売上だけでなく、その後のリピートも含めて見る:広告経由で来た新規顧客が、その後リピートしてくれているかどうかまで追跡することで、広告費が「一時的な出費」で終わったのか「投資として回収できた」のかが判断できます
SNS広告・インフルエンサー起用を「新規顧客と出会うための一時的なコスト」として意味を持たせるには、その効果を継続的に検証する仕組みが欠かせません。効果が数字で見えないまま払い続ける広告費は、投資ではなく単なる恒久的な支出になってしまうリスクがあります。
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SNS発信をしている個人事業主自身の経理習慣については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ フリーランス・YouTuber・インフルエンサーが最初にやるべき経理の3つの習慣
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まとめ
- SNS広告費は「広告宣伝費」として経費にできるが、海外事業者への支払いは消費税の仕入税額控除ができない可能性がある
- インフルエンサーへの投稿依頼の対価は原則源泉徴収不要だが、撮影・制作を含む依頼は対象になるケースがある
- 相手が法人か個人事業主かで源泉徴収の要否が変わるため、契約時に確認しておく
- 広告費の効果は顧客獲得単価(CPA)とリピート状況の両方で検証する
- 効果検証の仕組みがない広告費は、単なる恒久的なコストになってしまうリスクがある
SNS広告・インフルエンサー起用は、正しく経理処理をした上で効果を検証する仕組みを作ることで、初めて「投資」として意味を持ちます。まず自分が払っている広告費を、経費区分と効果の両面から確認するところから始めてみてください。
